教員一覧(2023年度)

生活プロデュース学科

奥脇 菜那子

  • 講師
近影

プロフィール (自己紹介)

ファッション・衣生活に関する実験や講義科目を担当します。
もともとは「ファッションが大好き!」「アパレル関連の仕事に就きたい!」という思いから大学で被服学を専攻しましたが、服について学ぶうちにテキスタイルの奥深さに魅せられ、被服材料学分野の研究に取り組んでいます。服の素材である繊維や糸、布の性質は服のデザインやシルエット、機能性や着心地のよさなど様々な要素に影響し、素材を知ることは、よりよい衣生活をプロデュースするヒントになります。
学生の皆さんと、一緒に考え、たくさんお話ししながら、よりよい衣生活を目指して学び続けていきたいと思っています。

主な担当科目

  • ファッション基礎実験
  • ファッションプロデュース
  • リビングケア

ゼミナール研究テーマ

ファッションショーに向けた衣装製作、ファッションや衣生活に関する調査研究

前半は11月に開催されるファッションショーを目指して、ドレスなどの衣装製作とショーの企画・運営を行います。
後半はファッションや衣生活について興味のあることをテーマに調査を行い卒業レポートの作成に取り組みます。

学生へのメッセージ

毎日の生活の中で「なんでだろう」「不思議だな」「困ったな」「面白いな」と感じたことが、皆さんの学びのヒントになります。
生活やファッションについて感じたことや考えたことを、友人や学校の先生、家族など周り人たちと、是非たくさんお話してください。
そして、意見の交わし合いを通して、新たな気づきを得ることを大切にしてください。

保有学位および主な教育研究実績(抜粋)

保有学位 修士(家政学) 日本女子大学
教育研究に関すること 研究分野 被服学、衣材料学
著書、学術論文等 年月日 発行所、発表雑誌、発表学会等 概要
ポリウレタン混ストレッチ織物の経年による力学的特性変化(共著) 2022年3月 日本女子大学紀要家政学部、Vol.69、p.113-119 ポリウレタン混織物はストレッチ素材として幅広く利用されているが、経年劣化することや、繰り返しの着用により型崩れが生じることなどがデメリットとして挙げられる。本研究では、ポリウレタン混織物について、購入直後の力学的特性の計測値と 10 年以上経過後の同一試料の計測値を比較し、経年による特性変化の傾向を把握するとともに、新品の試料に加速劣化試験を施し特性変化に影響を及ぼす要因について検討した。その結果、ポリウレタン混織物は経年により、引張特性や剪断剛性が変化することが明らかになった。また、ジャングル試験による劣化処理を施したポリウレタン混織物は、生地が伸びやすくなることが示され、その変化傾向は経年劣化したものと一致することが確認された。一方、着用疲労を再現した劣化試験では、生地が薄くなり、弾性が失われ、伸び率が減少することが確認され、経年劣化と物理的劣化では特性変化の傾向が異なることがわかった。
ECサイトにおける布の風合いに関する表現と消費者の意識(共著) 2022年3月 繊維製品消費科、Vol.62(3)、p.177-184 ECサイトを利用した衣服の販売においては、布の風合い情報を消費者に伝えるのが難しい。本報では実際のECサイトを調査することにより、衣服の風合いがどのように表現されているのかを調査した。さらに大学生を対象とした意識調査から、EC サイトでの衣服の購入にあたり、消費者が風合いに関するどのような情報を求めているのかを明らかにした。 その結果、ECサイトでは主に「商品画像」と「商品に関する説明」により、布の風合いが表現されていた。布の風合いについて、3 段階程度の指標で表す例も認められたが、詳細な指標は認められなかった。消費者はEC サイト上で、風合いに関する情報が増えた方がよいと考えており、特に布の「厚さ」や「透け感」、「ドレープ」や「ハリ」などについてのより詳しい情報を求めていた。 今後は、消費者に伝わりやすいよう、布の物性についての客観的な指標により、EC サイト上で風合いを表現することが課題であることが示された。
アパレル企業を対象にしたECサイトにおける布の風合い表現に関する調査(共著) 2021年3月 繊維製品消費科学、Vol.62(11)、p.733-740 アパレル業界のEC サイト利用が増加に伴い、EC サイトで購入した商品の返品も多く発生している。返品理由の一つに「布の風合い」に関するイメージの違いがある。風合いは、人の感覚値による部分が大きいためEC サイト上では伝わりにくい。そこで、風合いを客観的に伝える手法について検討するため、EC サイトを運営するアパレル企業にアンケート調査を実施し、EC サイトにおける布の風合い表現についての意識や課題を明らかにした。 その結果、回答者の約8 割が布の風合いを客観的に指標化し、消費者に伝達することの必要性を感じていた。特に返品理由として上位にあがっていた「布の厚さ」や、風合い表現でよく用いられていた「柔らかさ」について、消費者に伝達するための客観的な表現方法が求められていることがわかった。
各種清拭素材の肌への刺激評価―摩擦特性からの検討―(共著) 2019年3月 日本女子大学紀要家政学部、Vol.66、p.145-149 本研究は、乳幼児の口周りの汚れの拭き取りによる肌トラブルを軽減することを目的とし、口拭き用素材(清拭用布)として用いられるタオルやガーゼを中心に、肌への刺激について乾燥状態と湿潤状態における摩擦特性から検討したものである。
拭き取り用素材として選択した各種試料は、湿潤することにより平均摩擦係数 MIU が大きくなる傾向が認められた。乾燥試料と湿潤試料の MIU を測定した結果、乾燥状態では 0.25N から 0.49N に負荷荷重が増加するとMIU も増加する傾向が見られるが、湿潤状態では負荷荷重の増加によって、MIU は減少する傾向がある。 MIU を摩擦力に換算し、負荷荷重を 0.25N から 0.49N に変化させた場合の摩擦力の増加率を算出した。その結果、ほとんどの試料において、乾燥状態よりも湿潤状態で増加率が低下しており、拭く力を強くした場合、乾燥状態よりも湿潤状態の方が肌への負担が低減できることが示された。
ミシン縫製におけるニットの地糸切れ防止に関する研究―繊維素材と水分付与効果の関係―(共著) 2012年9月 繊維製品消費科学、Vol.53(9)、p.723-730 ニット生地への水分付与は、縫製時の地糸切れ防止対策の一つとして知られている。本研究においては、この水分付与効果が、繊維素材とどのような関係にあるのかを検討したものである。
実験では、綿およびモダル(改良レーヨン)素材のニット生地を試料とし、水分率を変えて縫製実験を行い、地糸切れ発生率を求めた。その結果、綿ニットでは乾燥状態で地糸切れ発生率が比較的高かったが、水分付与により地糸切れは減少し、従来から報告されている防止効果が確認できた。一方、モダルニットの場合には、乾燥状態では地糸切れの発生があまり見られなかったが、水分率の増加により地糸切れの発生率は高くなり、綿ニットとは逆の傾向となった。綿とモダルの50%混用ニットは、綿とモダルニットの間に位置し、綿と同様に水分付与による低減効果がみられた。この理由を検討するために、綿とモダルのニット生地(編糸)の外観変化、編糸の解舒力、KES試験機によるせん断・曲げ剛性率、引張張試験機による編糸のエッジ強さなどを測定した。綿ニットとモダルニットの水分付与による傾向の相違は、水分によるモダル編糸の膨潤に起因する自由度の低下、およびエッジ強さの減少が複合的に作用したものと考えられる。
本研究の結果より、ニットの地糸切れの防止対策として、水分付与を考える場合には、素材によって吟味しなければならないことが示唆された。
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