教員一覧(2024年度)
保育学科
平岡 秀美
- 講師

プロフィール (自己紹介)
学習者が自分の頭で考え、その考えを自ら表現することができるようになるための教育方法に興味があります。この興味に基づいて、特に価値についての教育に着目して、日本やドイツの大学で研究を進めてきました。
この研究の根底にある自身の関心は、「知識」(知ること)の教授と、それらに沿った「態度」(振る舞うこと)の育成との関係性にあります。知ることを通して人はどのように成長していくのか。その成長を教育者はどのように促していくことができるのか。これらの問いに、いくつかの大学で教育方法学の眼差しから、学生さんたちと向き合ってきました。
主な担当科目
- 教育原理
- 教育方法論
- 教育の制度と経営
ゼミナール研究テーマ
「教え」と「学び」を科学する
科学としての教育学の観点から、教育者による「教え」と学習者による「学び」に着目し、さまざまな教育・保育方法を調べていきたいと思います。基本的には、各自が興味のある教育・保育実践についての問いを立て、その実践がよって立つ理論・思想、社会的背景などにまで遡り、問いに回答しながらまとめていく作業を行います。このような作業を通して、皆さんがこれまで受けてきた「教育」や「保育」について、「学びほぐす」ことを目指します。過去と現在の国内外の教育・保育実践を観察し、未来の教育・保育実践について一緒に考えていきましょう。
学生へのメッセージ
皆さんは「よい」教育とはどのようなものだと思いますか。私の専門分野は教育方法についてです。ですが私は、「よい」教育の「完全マニュアル」を皆さんに教えることは目指していません。多様な子どもたちや変わりゆく社会の中で、教育者自身が常にどのような教育が「よい」のかを問い続けることが重要だと考えるからです。皆さんそれぞれが、「マニュアル」に頼らず、「よい」教育とは何かを問いながら、険しくも楽しい教育実践の道のりを、自分の力で歩むための「地図」を一緒に描いていきましょう。
その他
【競争的資金獲得状況】
2019年4月 - 2021年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費 採択(「ドイツの道徳教育改革における教授学的論争とカリキュラム変遷」)
2022年8月 - 2024年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 研究活動スタート支援 採択(「倫理・哲学・宗教知識に基づく価値教育への橋渡しとしての初等教育での道徳授業構想」)
【受賞】
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 研究科長賞
【資格】
小学校教諭一種免許状、中学校教諭専修免許状(外国語(英語))
保有学位および主な教育研究実績(抜粋)
保有学位 | 修士(教育学)筑波大学 | |||
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研究分野 | 教育方法学、道徳教育論、カリキュラム論、ドイツ教授学 | ||
著書、学術論文等 | 年月日 | 発行所、発表雑誌、発表学会等 | 概要 | |
「ドイツにおける倫理科のコンピテンシー開発の特色とその教授構想:ベルリン州の倫理科『教授計画大綱』を手がかりに」(単著) | 平成29年3月 | 『教育方法学研究』(教育方法研究会)第18集 | ベルリン州の倫理科という科目を取り上げ、そのカリキュラム分析を通して、倫理科の「価値規定」について、コンピテンシー・モデルに着目しつつ、明らかにした。これにより、価値多元化社会に対応するための、教育上の行動原理としての「倫理的反省」を促す教授構想を明らかにした。 | |
「『ベルリン陶冶プログラム』(改訂版)について(1)」(共著) | 平成30年3月 | 『道徳教育研究』(筑波大学道徳教育研究会)第18集 | ベルリン州の幼児教育施設のカリキュラム『ベルリン陶冶プログラム』に基づいて、その教育構想を分析した。これにより、グローバル化、インクルーシブ化の改革の最中にあるヨーロッパの幼児教育の教育・養育制度についての基本方針を追跡した。 | |
「ドイツ・ブランデンブルク州におけるLER科導入に対する教授学的批判:ベンナーによる『負担免除方略』の批判を手掛かりに」(単著) | 平成30年11月 | 『関東教育学会紀要』第45号(関東教育学会) | ブランデンブルク州の「生活形成・倫理・宗教科」(LER科)の導入をめぐる教授学的論争の一端として、ベンナーの批判の内実を検討した。これにより、学校教育での諸価値・倫理の取り扱いは、倫理科や宗教科を含む多様な教科による「経験と交際の拡大」という概念が重要であることが明らかとなった。 | |
『教育データブック:119のデータで読み解く日本の教育』 (共著) | 平成31年3月 | 時事通信社 | 近年の国内外の教育動向について、教育学の思想・理論的基盤を踏まえつつ、調査データをもとに分析・解説している(執筆担当箇所:社会教育、高等教育、才能教育について)。 | |
「カザフスタン共和国の就学前教育施設『第27番 幼稚園』(№27 Ясли сад)における教育活動の制度的特色」(単著) | 平成31年4月 | 『筑波大学大学院2018年度海外交流派遣プログラム報告集』(筑波大学大学院人間総合科学研究科) | カザフスタン共和国の就学前教育について、特に「第27番 幼稚園 」(№27Яслисад)での観察や教職員へのヒアリングをもとにその教育制度・教育実践の特色に着目し、報告した。 | |
「カザフスタン共和国の道徳・ 精神教育における問題性:『普遍的価値』に向けた知性と徳性の統合に対するドイツ教授学的批判」(単著) | 平成31年4月 | 『筑波大学大学院2018年度海外交流派遣プログラム報告集』(筑波大学大学院人間総合科学研究科) | カザフスタンにおける道徳教育(精神教育)について、70年代以降のドイツの道徳教育に関わる議論、特にドイツ統一後の東ドイツ社会における社会主義体制の教育からの転換について着目し、比較・検討を行った。 | |
「ドイツの価値教育における『態度』育成に対するハイトガーの批判:『知識と態度』(Wissen und Haltung)の関係性に基づく価値教育の構想」(単著) | 令和3年3月 | 『教育方法学研究』第46巻(日本教育方法学会) | 現代ドイツの道徳教育改革の展開について、新カント派の教育学者の教育学理論から問題点を指摘した。その際、既存の倫理・価値教育のコンセプトに対して、超越論的批判教育学派が、「知識と態度」の接続問題に対する理論に基づきその限界を指摘していることを明らかにし、知識の論証的な教授の可能性を示唆した。 | |
「ドイツ・ブランデンブルク州におけるLER科導入以降の批判・反批判:ラムゼーガーによるベンナーへの応答に着目して」(発表:単独) | 令和3年6月 | 日本道徳教育学会第97回大会 | ドイツ・ブランデンブルク州の道徳教育科目LER科への批判に対する、ヨルグ・ラムゼーガーによる反批判に着目し、REPという新たな学習領域の教授構想と課題について明らかにした。 | |
「ドイツの価値教育(Werterziehung)における『基本的価値』の取り扱いに対するハイトの批判と代替案:価値づけの『根拠の論究』を志向する教授構想に着目して」(単著) | 令和5年3月 | 『教育方法学研究』第19集(教育方法研究会) | ドイツにおける価値・道徳教育に対するハイトによる批判を明らかにした。ここでは、「価値づけ」の積み重ねによって、自らの「価値づけ」を根拠を持って主張するという意味での「道徳的判断力」育成の重要性が示唆された。 | |
「ニーダーザクセン州『価値と規範』における学年・学校段階の接続の試み」(単著) | 令和5年4月 | 『國學院大學栃木短期大学紀要』第57号(國學院大學栃木短期大学) | ドイツの一部の州において、日本の小学校5年生にあたる年齢段階である5年生(学年満年齢11歳)から日本の高校 1年生である 10年生(学年満年齢16歳)に至るまでの倫理・哲学授業科目で用いられてきた教科書シリーズの一つを取り上げ分析した。 | |
「ドイツの倫理授業にみる前期・後期中等教育段階での内容的接続」(単著) | 令和6年4月 | 『國學院大學栃木短期大学紀要』第58号(國學院大學栃木短期大学) | ドドイツの倫理・哲学授業の教材が前期中等教育段階と後期中等教育段階でどのような内容的接続を試みているのかを、前報(9)の研究結果を踏まえつつ比較・分析した。 | |
学会および 社会での活動 |
【学会】 関東教育学会 紀要編集委員会幹事、日本教育方法学会 会員、日本道徳教育学会 会員、日本カリキュラム学会 会員、日本教育学会 会員、日本倫理道徳教育学会 会員 【社会活動】 公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団 夏期インターンシップ(助言・指導)(2022年7月31日 - 2023年10月31日) |