湘北SDGs
【授業紹介】学生目線で興味津々!ユネスコ無形文化遺産「伝統的酒造り」地域文化とSDGs
日本各地で受け継がれてきた「伝統的酒造り」は、ユネスコ無形文化遺産として評価されている日本の地域文化を象徴する文化的活動です。焼酎もまた、原料や製法、造り手の想いによって味わいが変わる、地域性豊かな伝統産業のひとつです。
今回は「食の情報発信」(生活プロデュース学科 1年生 選択科目、吉川教授担当、2025年12月実施)のゲスト講師として、「焼酎スタイリスト®」の活動で関わった全国の酒造現場や地域文化をもとに講義を行いました。履修生は未成年のため、「飲酒は二十歳になってから」という基本ルールを前提に実施しています。焼酎・泡盛・日本酒といった日本の伝統酒「國酒」に受け継がれてきた地域文化やものづくりの背景、色彩やデザインの役割と効果について学ぶ講義となっています。
1)地域の個性を伝える地理的表示
講義では、地域の風土や歴史と結びついた産品を守るための表示制度である地理的表示(GI)にも触れ、「GI薩摩」に該当する鹿児島県の本格焼酎や、東京都にある島の風土と歴史が反映された「GI東京島酒」を事例として紹介しました。原料や製法の違いにとどまらず、焼酎が地域と深く結びついてきた背景を解説し、お酒が地域文化の要素であることやその魅力を伝えました。 学生から「ラベルでインパクトを残せるかどうか、伝えたい思いが伝わるかが変わるため、その地域やお酒にあったラベルを作る必要があります。そのためには色彩やネーミング、内容など細かい部分までこだわって作る必要があると知れました」とコメントも届き、酒造業界への気づきや興味につながったようです。

2)「伝統的酒造り」の可能性と、焼酎業界のSDGs
「伝統的酒造り」は過去の文化ではなく、現代の社会や未来ともつながる存在です。今回は「GI薩摩」から薩摩酒造株式会社(鹿児島県)、「GI東京島酒」から八丈興発株式会社(東京都八丈島)と株式会社宮原 新島蒸留所(東京都新島)を例に挙げ、焼酎業界が地域文化を守りながら海外展開やSDGsに取り組む姿を紹介し、学生目線で価値や可能性を考えるきっかけとしました。 コメントを一部紹介します。

■薩摩酒造株式会社
・酒造業界でもSDGsの取り組みがあるのだと知り、薩摩酒造が焼酎かすを豚の飼料にしていると聞いて、循環型社会が徐々に拡大していると感じました。麦焼酎「神の河」は一番ラベルや形が好みでした!
・(自然環境と動物保護を意識したSDGs商品)米焼酎ベースリキュール「SLEEPY ELEPHANT」で新しい表現にも挑戦しており、伝統を守りながらも新しい価値を発信する企業だと感じました。
■八丈興発株式会社
・高校生の仕事体験や、台風後の地域イベント企画など、地域と共に歩む姿勢が印象的でした。焼酎かすを牛の飼料として活用するなど昔から続く循環型の暮らしがSDGsにつながっていると感じました。
・麦焼酎「情け嶋」のローカルなデザインは、素人発案ならではの色使いや絵の作りがより味を出していて、"日本らしさ"を確立できるのではと思います。
■株式会社宮原 新島蒸留所
・高校生の芋植え体験は、地元のことを誇りに感じられる瞬間としてとても貴重だと思うので、ずっと引き継いで欲しいと思います。
・強風で植物を育てるのが厳しい島の環境だからこそ、麦焼酎「嶋自慢 羽伏浦」など(地域性を表す)特別なお酒が造られていると学ぶことができました。
3)学生目線で、焼酎の「文化的価値」に興味津々!
今回の講義を通して、お酒にまだ馴染みのない学生にとっても、新しい視点や興味が広がる機会となったようです。講義後には学生たちが教卓に集まり、商品を実際に手に取りながらラベルやGIロゴなどを熱心に眺める様子が見られました。私も教育に携わる立場として、また「焼酎スタイリスト®」として、酒文化への関心の高まりと、文化教育としての大切さを実感しました。そのような学生のコメントがこちらです。
■お酒は同じものだと思っていたけど、それぞれの製造方法や、工夫されている点、大切な点がそれぞれ違うため、各々の魅力があると感じました。お酒を造る地域では昔ながらの伝統や文化を守り、受け継ぐことが大切であり、お酒は悪いものではないと改めて考えることができました。
■講義を通して、焼酎業界がお酒を製造するだけでなく、環境への配慮や地域資源の活用など、SDGsに沿った取り組みを行っていることを知り、業界に対する印象がより良くなりました。将来大人になった際には、各地域の特色が生かされたお酒を楽しみたいと思いました。
■早く飲んでみたいと思いました。20歳になったら焼酎の香りも楽しみながら、大人を感じながら飲みたいと思いました。
■今回の講義をきっかけに、スーパーなどのお酒コーナーでラベルや産地に注目して見てみたいと思いました。機会があれば店員の方とも話をしながら、お酒についての知識や理解をさらに深めていきたいです。
■ラベルや形で買う人を魅了したり、作り方にもこだわっていて、様々な焼酎を知ってみたいと興味が湧きました。焼酎業界やお酒業界を知る機会など無かったので、現状を知れて良かったです。20歳になったらお酒の魅力をもっと感じたいです!
■海外展開や新しい商品開発、SDGsに配慮した資源循環の取り組みなど、伝統を守りながらも時代に合わせて進化し続けている点が印象的でした。焼酎業界・お酒業界は、古いイメージだけでなく、若い世代や海外にも魅力を発信できる可能性を持った、柔軟で奥深い業界だと感じました。

※写真左;八丈牛乳せんべい(長年親しまれている八丈島の土産品)
協力: 薩摩酒造株式会社、八丈興発株式会社、株式会社宮原 新島蒸留所
鹿児島県酒造組合、東京七島酒造組合
ウェブマガジン「焼酎&泡盛スタイル」、色彩総合プロデュース「スタイル プロモーション」
(生活プロデュース学科 非常勤講師 小島由記子、焼酎スタイリスト®yukiko)












