湘北SDGs
【授業紹介】地域企業から学ぶSDGsとモノづくりの視点:大貫繊維株式会社様による特別講義(2026年6月22日)
2026年6月22日、生活プロデュース学科1年生必修科目「SDGsと社会デザイン」の授業で、地元・愛川町半原に拠点を置く大貫繊維株式会社の豊島様はじめ7名の社員のみなさまをゲスト講師にお迎えしました。今年度はカリキュラム改訂に伴い科目が必修化されたため学科の1年生全員が受講しました。
講義ではまず、半原の歴史について学びました。厚木市に隣接する愛川町半原は、山間部で湿度が多く養蚕に適していたことから「撚糸(ねんし)」の町として発展しました。そこに位置する大貫繊維株式会社は、明治時代に創業された会社に由来を持つ日本に3社しかないミシン糸製造の企業です。こだわりを持ってつくられているミシン糸は、衣類のみならず、自動車のシートや医療分野といった高い強度と信頼性を要する領域で広く活躍していることも学びました。一方で、アパレル業界は製造時のCO2排出や廃棄物などの環境負荷が課題となっています。そのため、同社が推進する具体的なSDGsへの取り組みについても詳しくお話していただきました。
1.環境への配慮:工場で使用する電力をリサイクル電力へ切り替えて、製造工程を5工程から4工程にして20%の節電。またペットボトルを再利用したリサイクル糸を開発、ITを用いた効率化による無駄のないものづくりの実践。
2.社会貢献活動:市場に出せない糸を小学校や中学校に寄付、地域清掃に社員全員が参加、工場見学やワークショップの実施。
3.福利厚生の充実:社員の働きやすさを大切にし、SDGsデーの開催や全員参加のポイントカードを活用した社員のモチベーションアップ。
講義後半で行われたワークショップでは、製造工程でどうしても発生してしまう「残糸(ざんし)」を活用したストラップ作りを実際に体験しました。自分たちの手で実際に糸を編む体験を通して、捨てられるはずの糸を素敵なストラップに変えるアップサイクルについて知り、楽しみながら学ぶ姿が見られました。
講義を受けた学生たちの振り返りからは、身近な「糸」の価値の再発見や、当事者意識の変容が見られるコメントが多く寄せられました。その一部を紹介します。
■「残糸」についての意識の変化
「製造の過程で出る残糸が捨てられるのではなく、ワークショップなどで活用されていることが印象に残りました。私はこれまで残糸は不要なものだと思っていましたが、工夫次第で新しい価値を生み出せることが分かりました」
■ 社会を見る視野の広がり
「ミシンの糸にこんなに沢山の種類があると知らなかったため、知識の幅が広がりました。更に、SDGsの観点から環境に配慮した生産をし続けていると知り、身の回りにはSDGsを考えている企業が多くあるのだと知りました」
■ 他の授業と関連付けて学びを深める
「私は火曜の一限にテキスタイルの基礎の授業を受けているため大貫繊維の方々のお話は凄く役立つ内容で新しい知識を増やすきっかけになりました。特に印象に残っていた所は、ミシン糸はミシンでしか使わないもので縫うためだけのものだと思い込んでいましたが実はスーツで使われていたり、車のハンドルなど車の一部としても使われていたりすることを教えていただいたことです」
■ 企業の挑戦する姿に感動
「大貫繊維の方の話を聞いて、長年培ってきた高い技術力と、製品への強いこだわりに一番感動しました。理由として、変化の激しい業界の中でも品質に妥協せず、お客さんの期待にずっと応え続けていると知ったからです。ただ製品を作るだけでなく、伝統を守りながら新しい技術にも挑戦する姿から、モノづくりに対する誇りと情熱がとても伝わってきました。これからの企業のあるべき姿だと感じます」
■ 身近な企業の取り組みを聞くことで当事者意識が変容
「これまでゴミになると思っていたものが新たな製品の材料として活用されていることが印象に残りました。私はSDGsというと難しいイメージがありましたが、企業が身近なところで環境問題の解決に取り組んでいることを知り、私たちも物を大切に使い、リサイクルを意識することが大切だと感じました」
■ ワークショップから歴史の重みを実感
「特に印象的だったのは、最後に組紐を使ってカラビナに編み込むキーホルダー作りです。実際に自分の手で編んで形にする体験を通して、伝統的な技術や繊維の魅力に直接触れることができ、素材を無駄なく活かすモノづくりの楽しさと意義を体感することもできて、講義で聴いた同社の歴史やこだわりが、より身近で深い納得感を持って心に残りました」
本学では、これからも地域の企業様との連携を通じて、身近なところから社会をデザインする視点を養っていきます。
(生活プロデュース学科 二見総一郎)








