湘北SDGs
【授業紹介】「生活とSDGs」豊永翔平氏による特別授業を実施(2023年6月、7月)
「夢は100億人の食を支えるグローバルスタンダード」
6月と7月の2回、生活プロデュース学科では、「生活とSDGs」の授業に、特別講師 豊永翔平さんをお招きし、「気候変動時代における新たな食と農のかたち」をテーマにお話し頂きました。
最初に、気候変動が私たちの生活に与える深刻な影響を学びました。人口80億人が暮らす地球では、温暖化、淡水の枯渇、砂の不足や耕作地の減少などにより、近い将来、深刻な食料不足が来ると予想されています。食料を輸入に頼っている日本では、もし「核の冬の時代」が来た場合には、二人に一人が餓死する可能性があるという研究もあるそうです。
豊永さんは、こうした気候変動と食料不足の問題を解決するため、26歳で起業、沖縄に研究開発拠点Cultiveraを設立し、環境に優しい独自の栽培技術「Moisculture」を開発しました。これは、特殊な繊維層に水をしみこませ、気化した湿度で野菜を育てるという画期的な特許技術です。豊永さんが三重県多気町に設立した株式会社ポモナファームでは、この技術を使って、トマトやマイクロリーフなどの野菜を生産しています。光合成に必要な環境があれば、土不足、水不足の場所でも農作物を生産することが可能になり、農業排水もゼロで環境負荷を軽減できるということです。
今回、豊永さんには、この技術で栽培されたプチトマト「POMONATOMATO mini」などを受講生にご提供いただきました。このトマトは、講義の数日後に、トマトとしては世界で初めてGABAの機能性表示食品の届出が受理されたことが大きく報じられました。GABAは睡眠の質の改善、認知機能の維持、肌の弾力の回復にも効果があります。今回頂いたトマトは、美味しいだけでなく健康維持にも寄与するということが証明されたわけです。
豊永さんは、持続可能な農業技術を世界中に普及させることで「100億人の食を支えるグローバルスタンダード」という大きな夢の実現を目指しています。海水農業や、気候難民対策としての海上都市構想など、山積する地球の課題解決に向けて、これからも壮大なチャレンジが続きます。
受講した学生たちは、豊永さんの授業をきっかけに、地球全体に意識を向け、気候変動が深刻な課題であることを理解すると同時に、自分たちには何ができるのかについて改めて深く考える機会となりました。(生活プロデュース学科 簗瀨千詠)